2015年4月8日発売、サークル「Chloro」制作の「西暦2236年」の無料ダウンロード情報です。
同人誌の内容



同人誌の説明
西暦2231年4月7日、僕は彼女と出会った。
西暦2231年5月12日、彼女らはいなくなった。
西暦2233年4月24日、僕は先輩と出会った。
西暦2236年4月1日、99通のメールが届いた。
西暦2236年?月?日、僕らは時間の概念を見失った。
西暦2236年4月14日、まるで、何かがまた始まるような予感がした。
西暦2236年4月7日、たくさんの文字を見た。
西暦2013年10月5日、先輩がいなくなった。
西暦2231年4月7日、僕は彼女と出会った。
西暦2040年4月15日、僕は少年と出会った。
西暦9999年99月99日、僕は告白した。
西暦0000年00月00日、そして……
夢と現実が曖昧になった世界。僕は自分自身にこう問いかける。
「過去と未来、どちらが長いのか。」
すべての可能性、すべての現実、時間と意識の流れの中で
彼女と僕は、恋愛してしまった。
それは人類の否定 それは思い出の棄却
タイトル: 西暦2236年 -Universal Edition-
対応OS: Windows10以降 / macOS
ストレージ: 約2.3GB 以上の空きが必要
言語: 日本語 / English
ジャンル: わたしをフカンするノベルゲーム
同人誌の感想
物語をフカンしたとき、ボーイミーツガールの先にあるものは?
この作品にたどり着いた人は、ノベルゲームに興味があり、商業作品には満足できず、同人作品まであさってしまうような、かなりマニアックな人がほとんど。
この作品はとてもいい意味で同人ノベルゲーム然としていて、そういったマニアックな客層に十二分にこたえるものだと思う。ここでいう「とてもいい同人~」というのは、
クセが強い
熱量がすごい
ということだ。
どこがクセ強か?
とにかくシナリオがすごい。設定からして「この世界の人たちはみなテレパシーできます。世界は200年くらい前にいったん作りかえられました。」
おお同人ゲーなのにこんなに風呂敷広げて大丈夫かよ と心配になるほどの情報量、しかしそんな心配は杞憂。お話はトンデモSFでありながら、丁寧に読者を導いてくれる文章と構成が見事。終盤まで読み進めると「気付けば遠いところに来たな」とカタルシスに浸れる圧巻の世界観が待っている。
さらに、この作品の主題となるのは恋愛だとか人生の意味だとか哲学的な内容。ここまで読んでお気づきだと思うが、つまりこの作品は抜きゲーでもなく、恋愛シミュレーションゲームでもない。しかし、「恋愛」に向き合った作品である。このクセの強い真面目さが素晴らしく、純文学的ですらある。
作品への熱量
CGの枚数や写真素材がこのお値段にしては多く、オリジナルの楽曲(ボーカル付きもあり)もふんだんに使用されていて各シーンを盛り上げてくれる。漫画的なコマ割り表現を使ってスピード感を出したり、フラクタルアートなどの抽象的な表現でSF世界感に没入させたりと、ノベルゲームとしては少し珍しい演出も効果的だった。短い時間で消費されてしまう演出にも力が入っていて、エネルギーの投入量が凄まじいことがわかる。
こういった作者のこだわりポイントに膨大なパワーが投入されるところも同人ならではで、とても良かった。
こんな感じでパワフルでクセ強なお話に脳みそを振り回されるのが好きなノベルゲームマニアの方は、ぜひチャレンジしてみてほしい。
獅子は猫に頭を下げるのか?
その電波的・哲学的・前衛的な作風は、最初は複雑で難解に感じるかもしれない。でも実際にはシンプルで、初恋の多感さを抱えた同じ意味の物語を、違う尺度や視点で再構築しただけ。読んでいくうちに、何度も心を揺さぶられるだろう。世界が平坦でも丸くもないと気づいたとき、あなたは泣き崩れるのか。理由が分からなくなったとき、笑えるのか。同じ意味を見出しただけで、それを特別だと感じるだけなのか。結局、それらがナンセンスだと知ったとき、虚無を感じるのか。だから、どれだけ迷っても終点は一つしかないらしい。彼女たちとの思い出が、今を定義づけることはできない。
未来も過去も、ヒトは変わらない。
未来の日本を舞台に、テレパシーが発達した社会を描く。テレパシーを使えない学生たちとのディスコミュニケーションが物語の軸だ。とっつきにくい独特の概念が多く、万人向けの娯楽とはいえないが、前衛的で魅力的な佳作。コメディ要素もあるが、基本は淡々とした会話劇で進む。
世界や現実、記憶とアイデンティティを探る散文詩のような内容で、例えるなら終盤のエヴァンゲリオンの雰囲気に近い。哲学的な思想もあるが、特に数学ネタが占める。
選択肢は少なく、ミスすると最初に戻る仕様。エロ描写は控えめで、過度な期待はしない方がいい。プレイ時間は9時間以上。番外編はアプリで遊べて、英字幕付き。途中、小さなフリーズが挟まれる場面もあり、それが演出なのか判断に困ることも。オートプレイだと絵が止まってしまい、その都度クリックするのが面倒だった。