指輪外して、心は溶けて

同人誌の感想

1. 松尾智之

   2024年3月19日

   寝取り寝取られというよりは一人の女性の心が崩壊するまでを描く

   アイドルとして大成し、引退した彼女のもとにかつて枕営業で自らの体を捧げた男たちがやってきます。最初はよくある寝取られモノの展開かと思いきや、結婚したプロデューサーが実はクズ男で、彼女には枕営業の秘密を抱えたまま結婚したという、そこから話が深まります。灯織は夫の裏切りを知りつつも信じたい気持ちを抱き続け、職場での浮気を目の当たりにすることで、彼女の心は崩壊の一途をたどります。
   激しいセックスの快楽を覚えた体は、愛のかけらもない快楽や薬に溺れていく様子が非常に説得力に富んでいます。
   ゲームをやっていると、シャニＰがそんなことするわけない！と心の中で叫びたくなるレベルの解釈違いもありますが、考えてみると他のアイドルの存在については整合性があるように感じられます。
   浮気をしている旦那＝プロデューサーは妻に見限られても仕方ないですが、そのせいで男性視点での寝取られ感は薄くなっています。むしろ、ラストのシーンで、自分をただの性欲処理道具としか見ていない顔も知らない相手たちとの関係の方が、かつてのユニット仲間よりも親しさを感じ、どこか鬱屈した気持ちにさせられます。
   彼女がなぜ自分だけが苦しまなければならないのか、その苦しみと快楽を他のアイドルにも味わせようとする展開は、なかなか芸術的です。プロデュースの最後の週、成功すればステータスの上昇も見込める一方、失敗すればカタストロフィが待っているという絶望感が漂う作品です。作者が作品の世界観を深く理解している点も評価でき、同じシリーズの新作や二次創作にも期待が持てる仕上がりです。

2. ホロホロ

   2021年7月18日

   かなり濃いNTR系

   NTR系の作品で、物語はクライマックス直前からスタートする。悲しくて救いのないハードな展開が待っているから、ライトなものを求めている人は覚悟しておいた方がいいかもしれない。